【4月30日 AFP】氷に覆われた表面を縦横に走る線状の隆起を特徴とする木星の衛星エウロパ(Europa)。この隆起は、地下浅い位置の水の滞留を示すものだとする研究論文が19日、発表された。地球外生命探査への期待が高まる研究結果だという。

 エウロパが長年、太陽系内の生命探査の候補として挙がっている理由は、広大な海の存在だ。この海には、生命の基本要素である液体水があると広く考えられている。

 エウロパの海は地下25~30キロに位置すると予想されている。だが、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された最新の研究によると、従来考えられていたより表面に近いところに水が存在する可能性があるという。

 この発見は、気候変動関連でデンマーク領グリーンランド(Greenland)の氷床を研究していた米スタンフォード大学(Stanford University)の地球物理学者チームが偶然もたらした。研究者らは、グリーンランドにあるM字形の氷の隆起線が、より小さい規模ながらも、エウロパの氷殻で最も特徴的な二重稜線(りょうせん)に似ていることに気付いた。

 エウロパの二重稜線を最初に撮影したのは、1990年代の米航空宇宙局(NASA)の木星探査機ガリレオ(Galileo)だが、形成の仕組みについてはほとんど明らかになっていなかった。

 研究チームは氷貫通レーダーを用いて、グリーンランドの氷床表面から約30メートル下に滞留する水が再凍結して割れる際、M字形の氷の隆起線が形成されることを発見した。