【4月21日 AFP】エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は20日、大統領選決選投票を24日に控えて行われたテレビ討論会で、極右政党「国民連合(RN)」のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首が当選し、イスラム教徒が髪を隠すヒジャブ(スカーフ)を公共の場で着用することを禁じるという公約を実行すれば「内戦」につながる恐れがあると警告した。

 討論会でルペン氏は、物議を醸したヒジャブ着用禁止案に改めて言及し、自分が闘っているのは「イスラム教」ではなく「イスラム主義者」だと主張。ヒジャブは「イスラム主義者に強制された制服」だと語った。

 それに対しマクロン氏は「そんなことをすれば内戦が起きる。本当にそう思う」と反論。「啓蒙(けいもう)主義や普遍主義を生んだフランスが、世界で初めて公共の場で宗教的なシンボルを禁じる国になる。あなたの提案はそういうことであり、ナンセンスだ」と批判した。

 さらに「スカーフやキッパ(ユダヤ教徒の伝統的な帽子)などの宗教的な象徴をどれだけの警察官を動員して取り締まらせるつもりなのか」と問い掛けた。

 一方のルペン氏は「私がしようとしているのはイスラム主義との闘いだ。あなたの主張とは裏腹に、私はテロとイスラム主義者の存在を忘れていないからだ」と強調した。

 その上で「宗教と闘うつもりも、イスラム教に反対するつもりもない。宗教としてのイスラム教は(フランスで)受け入れられている」としながら、「イスラム主義者のイデオロギーを禁じる法律を導入する必要があると思う」と、ルペン氏は語った。

「私が闘っているのは、わが国の根幹を揺るがし、男女平等や世俗主義、民主主義を損ねるイスラム主義者のイデオロギーだ」 (c)AFP