【4月22日 AFP】ウクライナ・ブチャ(Bucha)の自宅玄関先で遺体となって発見されたリュドミラさん(79)の死亡診断書には、3月5日に頭部と背中に銃弾を受けて亡くなったと記されている。

 首都キーウ近郊のブチャは今、侵攻したロシア軍が行った「戦争犯罪」の代名詞のようになっている。

 リュドミラさんには、精神障害のあるニーナさん(74)という妹がいた。ニーナさんは台所で死亡しているのが見つかった。AFPが確認した死亡診断書によると、死因は心臓発作だった。

 姉妹のおいのイェフゲンさん(44)は、ニーナさんはリュドミラさんがロシア軍に殺害された後、餓死した可能性もあると考えている。

 イェフゲンさんは数十人の高齢女性の遺体を2週間にわたって確認し続けた後、18日にようやくリュドミラさんを白いトラックの車内で見つけることができた。だが、ニーナさんの遺体の所在は確認できていない。

「365番はあなたのですか」。マスク姿のウクライナ人ボランティアは、トレーラーの横に並べられた灰色の遺体袋を指した。イェフゲンさんは「はい。私のです」と言った。作業を急ぐボランティアが「もう一つ、あちらはあなたのですか」と質問したのに対し、イェフゲンさんは「いいえ、あれはあの人たちのです」と答えた。

 ロシア軍が進攻してきた際、ブチャ市内には4000人前後の住民が取り残された。

 地元警察幹部のビタリー・ロバス(Vitaly Lobas)氏はAFPに対し、3月31日にロシア軍が撤退した後、約400人の遺体が見つかったと語った。うち約4分の1は、身元が確認できていない。「大半が暴力によって殺害された」という。