【4月18日 AFP】「アドリア海の真珠(Pearl of the Adriatic)」の名で知られるクロアチア南部の観光地ドブロブニク(Dubrovnik)で、旧市街にある歴史的建造物の前にすみ着いた野良猫を当局が追い出したことに反対する署名運動が広がっている。

 14世紀に建造された旧総督邸(Rector's Palace)の前にいつもいる17歳の猫アナスタシア(Anastasia)。地元の人や観光客の人気者だ。里親に引き取られても、すぐに戻ってきてしまうため、ボランティアが旧総督邸の玄関ポーチ脇に段ボール箱を置いてやった。

 だが、邸内の博物館を運営する当局は、これを快く思わなかった。

 そこで、動物愛好家が宮殿風の木製キャットハウスを作り、アナスタシアにプレゼントした。ゴシック様式、ルネサンス様式、バロック様式の要素を盛り込んだキャットハウスの入り口には、名前を刻んだ金属プレートも付いている。

 しかし、文化財保護当局はキャットハウスの撤去を命じた。

 博物館側は、ドブロブニクの「独特の文化や歴史全般を、特に保護施設や住居設備の増設によって」改変することは何人たりとも許されないと主張。マト・フランコビッチ(Mato Frankovic)市長も博物館を支持している。

 アナスタシアの追放を受け、ソーシャルメディアでは怒りの声が巻き起こった。追放撤回を求める請願には、16日までに1万2000人が署名した。

 キャットハウスを作ったスルジャン・ケラ(Srdjan Kera)さんは、「ここは彼女の家だ」「私たちが主張しているのは、1匹の猫についてだ。70匹いるわけではない」と残念そうに語った。(c)AFP