【4月18日 Xinhua News】中国江蘇省(Jiangsu)塩城市(Yancheng)亭湖区の東閘新村でこのほど、前漢初期の墓2基が発見され、青銅器や木器、漆器、陶器、鉄器、植物の種子などの副葬品140点余りが出土した。中でも陶郢爰(えいえん、郢爰は戦国時代の楚の貨幣、陶製は副葬用の明器)や状態の良い木製弩機、弩弓(どきゅう)の矢、弓矢、漆瑟(しっしつ、瑟は琴に似た楽器)、六博(りくはく、中国古代のボードゲーム)の棋盤は、塩城で初の発見となった。

 中国海塩博物館(塩城市博物館)の鉄春燕(Tie Chunyan)館長によると、今回見つかった2基の墓のうち、規模の大きいM82号墓は塩城市でこれまで出土した唯一の棺椁(かんかく、椁は椁室=外棺)と副葬品がほぼ完全な漢代の墓だという。同墓の足廂(椁内の被葬者足側の空間)からは、アワやキビ、アンズ核、ナツメなどの植物を収めた漆笥(しつし、漆塗りの竹製の収納箱)が複数見つかった。これらは漢代の塩城地域における農作物の生育状況を理解し、漢代の食文化を復元する上で重要な価値を持つ。

 規模の小さいM84号墓はすでに発掘を終えている。長方形の竪穴土坑木椁墓で、埋葬方式は「一椁一棺」、覆いは長方形の木板を多数組み合わせて作られていた。椁室はひつぎと足廂、南辺廂(辺廂は椁内のひつぎ両脇の空間)からなり、辺廂と足廂からは銅鏡や陶郢爰、陶半両銭(半両銭は秦から前漢に使われた円形貨幣で陶製は副葬用の明器)、釉陶瓿(ゆうとうほう、瓿は盛酒・盛水器)などの器物が出土した。

 M82号墓はM84号墓と比べ格式も高い。現在は辺廂と足廂の発掘が完了している。同墓も長方形の竪穴土坑木椁墓で、椁室は単棺と辺廂、足廂で構成されている。辺廂と足廂からは木製弩機、彩絵木俑(副葬品の人形)、漆塗り耳杯(じはい、取っ手のついた杯)、漆塗り奩盒(れんこう、化粧箱)、陶郢爰などの遺物100点(組)近くが見つかった。

 鉄氏は、漢代の厚葬習慣によって残された大量の副葬品は当時の人々の生活を知る重要資料だと指摘。今回出土した副葬品からは、厚葬が盛んだった当時の様子がうかがえるとし、墓に詰められた宝物は、故人が生前に生前に親しんだ物を墓に持ち込んだことを示していると語った。(c)Xinhua News/AFPBB News