【4月19日 AFP】砲撃から逃れる方法や難民支援、化学兵器による攻撃への対応──ロシア軍が軍事介入し10年以上内戦が続くシリアで、戦いで得た知識や情報をウクライナ支援につなげる動きが広がっている。

 救助ボランティア団体「ホワイト・ヘルメット(White Helmets)」(正式名称:シリア民間防衛隊、Syria Civil Defence)の代表、ラエド・サレハ(Raed al-Saleh)氏はAFPに対し、「私たちがシリアで経験してきたことを考えると、ウクライナの人々の痛みを最も理解できるのは私たちかもしれない」と語った。

「シリア市民はロシア軍による砲撃や殺害の他、家を追われる経験をしている」「時と場所は異なるが、被害者は共に民間人で、加害者は共にロシア政府だ」

 シリア内戦では50万人以上が死亡したとされる。ホワイト・ヘルメットは反体制派の支配地域で救助活動を行っており、ロシア軍やシリア政府軍の砲撃で破壊された建物の下から多数の市民を救出してきた。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は先月行われた国際会議で「マリウポリ(Mariupol)を見てください。シリアのアレッポ(Aleppo)と全く同じことが起きている」と訴えた。

 同じような悲惨な体験をしていることから、シリアではさまざまな取り組みが始まっている。

 複数の団体が立ち上げた「シリア・ウクライナ・ネットワーク(Syria Ukraine Network)」は、シリア人医師をウクライナに派遣する支援をしている。

 米首都ワシントン在住のウクライナ人で、同ネットワークのコーディネーターを務めるオリハ・ライトマン(Olga Lautman)さんはAFPに対し、「戦争犯罪の記録と化学兵器を専門とするシリア人」の派遣を手配する予定だと話した。

 反体制派が実効支配するシリア北西部イドリブ(Idlib)県では、医療従事者の育成機関「アカデミー・オブ・ヘルス・サイエンス(Academy of Health Sciences)」の医師が、ウクライナの医師や看護師にオンラインで研修を行っている。