【4月15日 AFP】中国・上海で14日、新型コロナウイルスの感染者のために自宅を明け渡すよう命じられた住民と、防護服姿の警官がもみ合う様子を捉えた映像がソーシャルメディアで拡散された。情報統制が取られる中国で、こうした映像がネットに出回るのはまれ。

 中国では、過去最悪の感染拡大が起こっている。人口2500万人の経済の中心地、上海では4月初めからロックダウン(都市封鎖)が実施され、住民は食料不足に陥り、隔離を強制する当局に対する不満を募らせている。

 14日夜にソーシャルメディアで拡散された映像では、集合住宅の外で住民が「警察」と書かれた盾を持って敷地内に入ろうとする当局者を怒鳴りつけていた。

 警察が数人を逮捕しているように見える動画では、住民から「(警官が)殴った」という非難の声が上がった。

 集合住宅を開発した上海張江集団(Shanghai Zhangjiang Group)によると、「感染防止と管理の必要性」の観点から感染者を住まわせるため、当局が39世帯に立ち退きを命じたことがきっかけで、警官と住民がもみ合いになったという。

 生配信された動画では、当局者が車に人を乗せようとしている中、「なぜ高齢者を連れ去るの?」と女性が泣き叫ぶ姿が映っていた。

 中国は、ロックダウン関連の動画をソーシャルメディアから相次いで削除している。ソーシャルメディア「微博(ウェイボー、Weibo)」では15日朝までに、今回の小競り合いが発生した集合住宅の名前を検索しても何も表示されなくなっていた。

 上海の住民はソーシャルメディアを通じて、食料不足や当局の対応に対する不満を訴えている。ネットでは、医療従事者がペットのコーギーを殺処分したり、今は緩和されたが一時実施されていた感染した子どもを感染していない親から引き離したりするケースが報告されていた。(c)AFP