【4月16日 AFP】太陽系の惑星の中で最も外側を公転している第8惑星、海王星の2006~2020年における大気温度の変動を捉えた赤外線合成画像を、欧州南天天文台(ESO)が今週、公開した。

 最初の3枚の画像(2006年、2009年、2018年)は、ESOの超大型望遠鏡VLTに搭載された中間赤外線撮像分光装置「VISIR」で撮影。2020年の画像のみ、米ハワイ(Hawaii)島マウナケア(Mauna Kea)山頂にある日本の「すばる望遠鏡(Subaru Telescope)」搭載の冷却中間赤外線分光撮像装置「COMICS」で撮影した。2020年中後期、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の影響でVISIRの稼働が停止していたためだ。

 海王星は地球と同様、太陽の周りを一周する間に四季があるが、この公転周期は約165年で、一つの季節が続く期間は約40年。そのため気候の急変はないはずだが、17年前の南半球の夏の始まり以降、著しい気温低下が起きていることが、11日に発表された研究論文で明らかになった。

 さらにその後、海王星の南極でここ数年間、著しい気温上昇があったとみられることが、2018~2020年の海王星画像に捉えられた下部の明るい部分によって示されている。

 海王星の大気温度に予想外の変動が起きている原因については、まだ明らかになっていない。海王星の成層圏での化学反応や太陽活動周期などに起因する可能性が考えられる。(c)AFP