【4月14日 AFP】女子テニスの国別対抗戦ビリー・ジーン・キング・カップ(Billie Jean King Cup 2022)に出場するウクライナ代表は、母国が戦火に見舞われている中で今週末の米国戦へ準備するという「二つの現実」の中で生きていると話した。

 ウクライナ代表チームは現在、決勝ラウンド進出が懸かる米国戦へ向け、米ノースカロライナ州アッシュビル(Asheville)に滞在している。だが、8000キロ離れた母国ウクライナでは今も激しい戦闘が続いており、チームの念頭にもそのことがある。

 ウクライナのオルガ・サウチュック(Olga Savchuk)監督は、「二つの現実の中で生きているみたい」だと話し、「私はここに座ってお茶を飲むことができるが、祖父とおばは防空壕にいる」と明かした。

「最初はそこにいないことに罪悪感を覚えた。でも恐ろしいことに、今は家族の無事を確認し、ニュースをチェックすることに慣れてしまった感じもある」 

 選手のカタリーナ・ザバツカ(Katarina Zavatska)は、練習拠点のフランスにある自宅で母親と祖母が安全に過ごせている状況に感謝しているとしつつ、父親や5歳のめい、妊娠中のいとこは今もウクライナ西部の故郷ルツク(Lutsk)にいると明かした。

「心配で本当につらい」とこぼす22歳のザバツカは、「でも何もしないと死にそうに感じる。だから今はただテニスをすることが安心につながる」と言い、「テニスコートが私の人生を生きる唯一の場所」と話した。

 今回の会場のコートには、青と黄色のウクライナカラーのリボンが描かれる。なお、ウクライナ代表チームの滞在費は、全米テニス協会(USTA)と国際テニス連盟(ITF)が負担する。(c)AFP