【4月13日 AFP】ワールドラグビー(World Rugby)が、20分間のレッドカードを世界的に試験導入していく方針であることが分かった。

 20分間のレッドカードは、選手が退場になった場合でも、退場から20分がたてば別の選手を交代で投入できるルールで、現在は南半球の強豪クラブチームによる大会スーパーラグビー(Super Rugby)で試験運用されている。

 3月に行われたシックスネーションズ(Six Nations Rugby 2022)のイングランド対アイルランド戦では、イングランドのチャーリー・ユールズ(Charlie Ewels)がわずか82秒で退場。試合のほとんどの時間を1人少ない状態で戦わなければならなくなったイングランドは、次第に数的不利の影響を受けていき、終盤に突き放されて15-32で敗れた。

 解説者の中には、レッドカードでは罰として厳しすぎるケースが頻繁にあり、勝負の面白さという点で試合が壊れると主張する人が多くいる一方で、悪質なファウルに対して20分のレッドカードでは不十分だと考える人もいる。

 脳振とうが選手の健康に及ぼす長期的な影響への懸念が高まる中、ワールドラグビーはタックル位置を下げ、頭部へのハイタックルを根絶することに意欲を燃やしている。ユールズのレッドカードも、その一環として出されたものだった。

 イングランド・プレミアシップのセール・シャークス(Sale Sharks)でディレクター・オブ・ラグビーを務めるアレックス・サンダーソン(Alex Sanderson)氏は、「20分の制裁は試合に大きく影響するが、決定的ではない。だからいいアイデアなのではないかと思う」とコメント。「20分のレッドカードがあれば、いきなりイエローかレッドかで白黒つけるよりも、グレーゾーンに罰を与えやすくなる」と見解を示した。

 しかしスーパーラグビーでの試験運用では、結論が出せるまでには至っていない。そのためワールドラグビーのアラン・ギルピン(Alan Gilpin)最高経営責任者(CEO)は、英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)に対して「限定的な試験運用でも、もっと多くの大会で導入されるようになれば素晴らしい。そうすれば試合に与える影響の全体像がもっと見えてくるだろう」と話した。

「もっと幅広く試験をしてから、結論を出したいと考えている」

 20分間のレッドカードは、スーパーラグビーと同じように個々の大会で試験導入される可能性があるが、世界規模での採用は、今年行われる女子W杯(Rugby World Cup 2021)、来年の男子W杯(Rugby World Cup 2023)が終わるまでは検討されない。(c)AFP