字幕:「夢」の残骸、キーウ攻防の激しさ物語る 世界最大の航空機も損壊
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【4月12日 AFP】ウクライナの首都キーウ近郊のホストーメリ空港(Gostomel Airport)に駐機していた世界最大の航空機「アントノフAN225ムリーヤ」。屋根が吹き飛ばされた整備場の中、機首は崩れ落ち、大破している。その姿は、同空港を首都攻略の足掛かりにしようと試みたロシア軍との戦いの激しさを象徴している。
AN225は、現役の航空機では世界最長となる翼幅88メートルの貨物機。ウクライナ語で「夢」を意味する「ムリーヤ」の愛称で親しまれ、国の誇りとされていた。だが、キーウ攻防戦の巻き添えとなった。侵攻4日目だったとされる。
ムリーヤの文字は、かつて機首にペイントされていた。焼け焦げた金属や打ち捨てられた弾薬の中に埋もれ、もはや確認できない。
「私たちは今、破壊された『夢』を背にして話している」。迷彩服に身を包んだデニス・モナスティルスキー(Denys Monastyrsky)内相が、記者団を案内してくれた。「とてもつらい。私は侵攻開始の2日前、ここにいた。その時は無傷だった」
■首都の玄関口
ホストーメリ空港はキーウの玄関口に位置する。ロシアは同空港を押さえ、決定的勝利への足掛かりにしようともくろんだ。
侵攻開始翌日の2月25日、ロシア政府は、ホストーメリ空港を制圧したとするとともに、装備の空輸が可能になったと発表した。
しかし、ウクライナ軍は空港周辺を含む首都郊外で激しく抵抗。ロシアの首都攻略は失敗に終わった。
モナスティルスキー氏は、ロシア軍の当初計画について「ここ(ホストーメリ)に貨物機で空挺(くうてい)部隊や車両を送り込み、キーウ攻略の拠点とするはずだった」と説明。まず空港周辺に「数千人規模」の空挺部隊を続々と展開し、滑走路を確保する予定だったと推察した。
「しかし、任務は完遂できなかった」
■激戦の痕跡
空港の各所に、先月の激戦の痕跡が残っていた。
すすけたぼろぼろの軍服や戦車から外れた走行用ベルト、車両部品とおぼしき物などが散乱している。不発の手りゅう弾もあった。南側の舗装路の上には不発ミサイルが転がり、くしゃくしゃの「危険」標識の傍らには未使用の砲弾が山積みになっていた。
小銃を背負った兵士2人が、ほうきを手にがれきの上を歩いていた。混とんの中にも、ある種の滑稽さと、楽観的な雰囲気を醸し出していた。
映像は8日撮影。(c)AFP/Joe STENSON