【4月11日 AFP】シリアの救助ボランティア団体はこのほど、ウクライナのボランティア向けに、自分たちの実体験から得た情報を盛り込んだ救助活動のためのチュートリアル動画を製作した。

 動画を製作した「ホワイト・ヘルメット(White Helmets)」(正式名称:シリア民間防衛隊、Syria Civil Defence)は長年、ロシア軍による攻撃の中、救助活動を行ってきた。撮影が行われた、反体制派が実効支配するイドリブ(Idlib)県アリハ(Ariha)では、今でもロシア軍による空爆が繰り返されている。

 メンバーは破壊された建物の中で、実習用マネキンを使い、包帯や止血帯の巻き方を解説している。

 シリアでは、10年以上続く内戦の悲惨な経験から得た知識を、ロシアによる侵攻を受けるウクライナに役立ててもらおうとする取り組みが増えている。

 ホワイト・ヘルメットのメンバー、イスマイル・アブドラ (Ismail al-Abdullah)さんはカメラに向かい、ロシア軍がウクライナで学校や病院、人道支援活動をしている人を標的にしているとされることについて、「悲しいことに私たちにはあまりにも身近だ」と語った。

 またアブドラさんは、最初の爆撃の後に救助者が集まってきた頃合いを狙ってもう一度爆撃を行う「二段攻撃」に注意するよう警告し、救助活動中の犠牲を減らしたいと訴えた。

 ロシア軍は二段攻撃の他、都市包囲、民間インフラへの爆撃、いわゆる「人道回廊」の設置など、シリアで実施した戦略をウクライナでも行っている。

 さらにアブドラさんは、信頼性を確保し、組織的な中傷から自衛できるよう「ゴープロ(GoPro)」などのアクションカメラで活動を記録するよう助言する。シリアでは以前、救助者に対する組織的な中傷が行われた。

 動画に登場するボランティアの一人で医学生のモハメド・ハジ・ムサ(Mohamed Haj Musa)さんはAFPに対し、「自分たちで実際に体験したことで、犠牲者も見てきた」とし、その経験がより多くの命を救うことにつながるのを願っていると語った。

 動画はホワイト・ヘルメットのウェブサイトに掲載される。(c)AFP