【4月11日 AFP】ポーランドのアンジェイ・ドゥダ(Andrzej Duda)大統領は10日、1940年に旧ソ連の秘密警察がポーランド人の捕虜約2万2000人を虐殺した「カチンの森事件(Katyn Massacre)」について、国際法廷を通じて責任を追及する方針を表明した。

 大統領は「ジェノサイド(集団殺害)に時効はない。この事件が国際法廷で裁かれることを求める。適切な動議を近く提出する」 と述べた。いずれの裁判所に提訴するか、また誰を訴えるかは示さなかった。

 ソ連は1939年9月、独ソ不可侵条約に基づきポーランド東部に侵攻。ソ連側はその際に捕虜にしたポーランド人将校ら約2万2000人を、現ロシア西部のカチンの森やメドノエ(Mednoie)、現ウクライナ北部ハルキウ(Kharkiv)などで射殺した。

 ソ連は長年、虐殺したのはナチス・ドイツ(Nazi)だと主張していたが、90年4月、ミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)大統領(当時)が自国の責任を認めた。

 ポーランドでは10日、カチンの森事件から82年目の追悼式典が行われた。同日は、2010年の追悼式典出席のためロシア西部スモレンスク(Smolensk)に向かっていたポーランド政府専用機が墜落し、レフ・カチンスキ(Lech Kaczynski)大統領(当時)ら95人が死亡した事故の追悼の日にも当たる。

 ドゥダ氏は「戦争犯罪や人道に対する罪が忘れ去られ、処罰を免れることによって、罪を犯しても罰せられることはないという意識が醸成される。新たな犯罪者にとっては青信号が点灯したようなものだ」と指摘。「そのことが今、独立し、民主的であるウクライナに対するロシアの残虐な侵略という形で顕在化している」と述べた。

 ドゥダ氏はまた、ウクライナにおけるロシアの犯罪が裁かれるよう、法的・外交的な取り組みを支援する考えを示した。(c)AFP