【4月9日 AFP】ベトナム戦争に従軍した73歳の米国人男性が今、ウクライナ軍の訓練に参加している。

 ベトナム帰還兵のスティーブン・ストラウブ(Steven Straub)さんはニューヨークを出発する直前、青と黄色のウクライナ国旗と「ウクライナに自由を」という文字のタトゥーを腕に入れた。

 フロリダ州出身の元整備工は、ロシア軍がウクライナの首都キーウに迫っていた先月半ばに現地入りし、ウクライナ軍の集中訓練を受けている。

 訓練が休みの日、ストラウブさんは、ロシア軍から奪還したキーウ郊外の村々を案内された。目にしたのは焼け焦げた軍用車、破壊された橋、ロシア軍に占拠された跡が生々しい家屋だった。

 寒空の下、迷彩服と防弾ベスト、米軍仕様のミリタリーキャップを身に着けたストラウブさんは、「ベトナムとは本当に違う」と言う。

 1968年から1年2か月、機械化歩兵部隊の軍曹としてベトナムで従軍し、テト攻勢(Tet Offensive)にも参加したというストラウブさん。左前腕には作戦名と日付のタトゥーが刻まれている。

「ここで驚いたのは、士気の高さだ。みんな信じられないくらい、士気が高い。ベトナムとは全然違う」

「ベトナムでは、大半の人の動機は金を稼ぐことだった。ここでは自分たちの自由と国を守りたいという気持ちが強い」

 立ち寄った先々で、ストラウブさんはウクライナ兵と一緒に自撮りに応じた。小さな村では軍が住民にパンや缶詰め、子どものおもちゃなどを配っている間、笑顔で寄ってきた老婦人3人に500フリブナ(約2100円)札を手渡した。

 訓練について尋ねると、ストラウブさんは冗談めかして言った。「大変だよ。73歳だからね」

「彼は優秀な兵士だ」と高官がAFPにコメントした。「戦術的な訓練にも対応できる。武器の扱い方も知っている。彼の参加に満足している」

 ストラウブさんは「戦う準備はできている。だからここに来たんだ。オデーサ(Odessa)に行きたいんだ」と話した。(c)AFP/Emmanuel PEUCHOT