【4月8日 AFP】サッカー元アルゼンチン代表のレジェンド、故ディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)氏が1986年W杯メキシコ大会(1986 World Cup)のイングランド戦で着用していたユニホームがオークションに掛けられた件について、同氏の長女は、数百万ドルで落札されるとみられているこのシャツは「神の手ゴール」が生まれた後半に着用されたものではないと主張している。

 娘のダルマ(Dalma Maradona)さんによれば、競売に出されるユニホームは、実際は得点の生まれなかった前半にマラドーナ氏が着ていたものだという。

 元イングランド代表で、アルゼンチンとの準々決勝後にマラドーナ氏とユニホームを交換したと述べていたスティーブ・ホッジ(Steve Hodge)氏が出品したこのユニホームは、400万ポンド(520万ドル、約6億5000万円)以上の値が付くと見通しとなっている。

 競売大手サザビーズ(Sotheby’s)は7日、ダルマさんの主張に対し、そのユニホームが本物であることを証明する「決定的な」要素を外部の企業から提示されたと強く反論した。

 サザビーズはまた、マラドーナ氏自身が以前、試合後の選手用通路でホッジ氏とユニホームを交換したことを認めていたとも述べた。

 一方のダルマさんは、父がW杯史上屈指の「5人抜きゴール」も決めた後半に着用していたユニホームは別の所有者の手に渡っていると主張したが、その名を明かすことは拒んだ。

 ダルマさんは記者団に対し、「あれはあのユニホームじゃない。誰が持っているかは言いたくない。そんなことをするのはクレイジーだから。彼(マラドーナ氏)がそう言っていたし、『生涯のシャツをどうして彼にあげるのだろうか?』とも口にしていた」と語った。

「この元選手は私の父の後半のユニホームを持っていると思っているが、混同している。彼の手にあるのは前半のもの」

 また、アルゼンチンのテレビ局チャンネル13(Channel 13)に対する別のコメントで、ダルマさんは「購入したいと思っている人に真実を知ってもらうために、そのことをはっきりさせたかった」と話した。

 サザビーズの広報担当者はAFPに対し「マラドーナ氏が前半に着ていた他のユニホームは実際にあったが、それとゴールを決めたときのものとには明確な違いがある」と述べた。

「われわれは競売に掛ける前、このユニホームが2ゴールが生まれた後半にマラドーナ氏が着用していたものであることを確かめるため、商品について尽力して科学的調査を行った」 (c)AFP/Sonia AVALOS, with Andrea Bambino in New York