■7件の被害報告

 エレーナさんの他にも被害は報告されている。

 女性人権団体「ラ・ストラーダ(La Strada)」ウクライナ支部には、これまでに被害を訴える電話が7件あった。しかし同団体は、最初のショックが収まることで、今後被害を訴える女性や少女が増える可能性を指摘。「レイプされた女性や少女は数百人、あるいは数千人いるかもしれない」とした。

 同団体が受けた最初の電話は先月4日、ヘルソンの女性とその17歳の娘が3人の男に暴行されたというものだった。首都キーウ周辺でも被害報告があるという。

 ウクライナのイリーナ・ベネディクトワ(Iryna Venediktova)検事総長は今週、ロシア兵がウクライナの女性や男性、子ども、高齢者に対し性的暴行を働いていると指摘。しかし戦時下では、通信や電力供給が不安定なため、証拠集めが難しいと説明した。

 エレーナさんは、ロシア軍が制圧している地域が奪還されれば、ウクライナ軍が「復讐(ふくしゅう)をするだろう」と言う。「私は、自分を密告した人たちを告発する。誰がやったのかを、夫に知らせる」 (c)AFP/Selim SAHEB ETTABA with Ania TSOUKANOVA in Warsaw