【4月7日 AFP】ロシアのウクライナ侵攻に伴う「残虐行為」をめぐり、米政府はウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の娘2人に制裁を科した。ただ、この2人については公にほとんど知られていない。

 米財務省によると、2人はカテリーナ・チホノワ(Katerina Tikhonova)氏とマリヤ・ボロンツォワ(Maria Vorontsova)氏。チホノワ氏は「ロシアの防衛産業を支援する仕事に従事するハイテク企業の幹部」。ボロンツォワ氏は、国の出資を受け「プーチン氏が個人的に監督する」遺伝子研究計画を主導する。

 米政府は「プーチン氏の資産が家族の間で隠匿されている」とみていると、ある米高官は指摘する。

 ロシア大統領府のウェブサイトに掲載されているプーチン氏の公式な経歴によると、ボロンツォワ氏は1985年生まれ。チホノワ氏は、プーチン氏がソ連時代に国家保安委員会(KGB)の諜報(ちょうほう)員としてドイツ・ドレスデンに家族と共に赴いた後の1986年に誕生した。

 プーチン氏は過去に、娘たちはロシアで大学教育を受け、欧州の数か国語を話し、ロシアに居住していると明かしている。孫も存在するという。ただ、公式にはこれ以上の情報はあまりなく、大統領府はプーチン氏一家の私生活について情報を公開していない。

 ロシアメディアによると、ボロンツォワ氏は内分泌科医でがんの治療に重点的に取り組み、政府との関連もある大手の医療研究企業に関与している。

 チホノワ氏については、数学者であり、国内トップクラスの国立大学に関連した科学技術財団を率いていると伝えられている。同氏は、アクロバットロックンロールと呼ばれるダンス競技のプロ選手で、権威ある国際大会への出場経験もあるという。

 プーチン氏は2019年の記者会見で、娘たちが実業界で存在感を拡大し、政府とも結び付いているのではないかとの質問を受け、直接的な答えは避けた。両氏を娘とも呼ばず、ただ「女性たち」と表現した。

 後年行われた別の記者会見でプーチン氏は「彼女たちのことを誇りに思う。勉学を継続し、職務に就いている」と語った。また、「彼女たちはいかなるビジネス活動にも関与しておらず、政治にも関わっていない」と明言した。

 プーチン氏は2020年のインタビューで、「安全上の懸念」があるため、家族に関する情報の共有は望んでいないとの考えを示した。孫の存在は認めたものの、何人いるのかは明かさなかった。

 プーチン氏は「孫たちがいる。私は幸せだ。大変良い子たちで、とてもかわいい。一緒に時間を過ごすのを本当に楽しんでいる」と話している。(c)AFP