■音の「バーコード」

 科学者は、海に生息する哺乳類126種すべての他、水生無脊椎動物100種以上、魚類約1000種が音を出すと考えている。

 ディ・イオリオ氏は、AFPに「水生生物の出す音の周波数、リズム、拍子の数などは、種によって異なります。それぞれ固有です」と語る。「まるでバーコードのようです」

 科学者はこれらの音だけで、何科の魚かを識別できる。世界規模のデータベースが構築されれば、例えば地中海に生息するさまざまなハタ科の魚の鳴き声を、米フロリダ州沖のハタ科と比較するといった調査も可能になるだろう。

■謎の音の正体

 海底で聞こえるカエルに似た奇妙な鳴き声を何か月も調査した結果、ディ・イオリオ氏の研究チームはその正体がカサゴ類の魚であることを突き止めた。

 さらに研究室で解剖してみると、この魚には胴に沿って腱(けん)が張っていることが分かった。

 この筋腱を収縮させて音を出しているというのが、チームの立てた仮説だ。「ギターですね。水中のギターです」と、ディ・イオリオ氏は説明した。(c)AFP/Kelly MACNAMARA