【4月10日 AFP】ポーランドの首都ワルシャワにあるウクライナ難民受け入れ施設で、子どもたちが歓喜の声を上げながら、3頭の「恐竜」の周りに集まっている。

 オレンジ色のティラノサウルス・レックス(T・レックス、Tyrannosaurus rex)は、ウクライナ語で「かみつかないよ」と言いながら、子どもたちとハイタッチを交わし、チョコレートバーを渡した。

 ウクライナ中部のビンニツァ(Vinnytsia)から2人の子どもを連れて避難した女性は「ウクライナから来た子どもたちはつらい思いをしています。でもこの恐竜でほっとできるかもしれません」と語った。地元の空港はロシア軍のミサイル攻撃で破壊された。

 ロシアによる侵攻開始以降、ポーランドに避難したウクライナ人は200万人を超える。

 ポーランド人のテレビプロデューサー、トマシュ・グリジンスキ(Tomasz Grzywinski)氏(41)は、次々と到着するウクライナの人々を支援する方法を模索していた。そこで始めたのが、恐竜のコスチュームを着て子どもを励ます活動、「メーク・ロアー! ノット・ウォー(戦争でなく、うなり声を上げろの意)」だ。

 自身も3人の子どもの親だというグリジンスキ氏は、「爆弾が飛び交う中で、家を捨てなければならないなんて、どんなにつらいか分かります」と言う。

「せめて、つかの間でも安心してもらえたらと思ったのです。(中略)ディズニーランド(Disneyland)やジュラシック・パーク(Jurassic Park)にやって来たみたいに」

 このアイデアはソーシャルメディアで話題となり、お菓子や塗り絵の寄付が届いたほか、自前のコスチュームで参加する人も現れた。

 グリジンスキ氏はさらに友人らを募って「恐竜軍団」を結成した。今後は孤児院など支援の届きにくい場所にも活動を広げていく予定だという。(c)AFP/Anna Maria Jakubek