【4月6日 Xinhua News】ブラジルのスーパーコンピューター(スパコン)の力を借りて、中国、ブラジル、米国の研究者が共同で、ワクチンの潜在能力を引き出し、抗体価を約800倍高めるキラル材料を発見し、将来の抗がん剤や抗ウイルスワクチン研究に新たな考え方を提示した。研究成果はこのほど、英誌「ネイチャー」に掲載された。

 中国江蘇省(Jiangsu)無錫市(Wuxi)にある江南大学食品科学・技術国家重点実験室の胥伝来(Xu Chuanlai)教授によると、人間の手は完全な左右対称ではなく、キラリティーとは、その鏡像と完全に重ね合わせることができない物質の性質を指し、薬やタンパク質などの分子の機能と密接に関係している。

 胥氏は今回の研究により、ある種のキラル材料が新たなワクチンアジュバント(ワクチンの効果を高める補助剤)になり得ることが分かったと説明した。

 江南大学の研究者は、キラルなナノ材料を開発し、それを用いて免疫細胞を刺激した。その結果、関連する免疫因子の発現量が1~2倍増加することが判明した。さらに、H9N2型インフルエンザウイルス感染モデルを用いて、この新規キラルアジュバントが細胞性免疫と体液性免疫の両方を効率的に刺激できることを実証した。

 論文の共同筆頭著者を務めた江南大学の徐麗広(Xu Liguang)教授によると、実験の結果、左手性免疫アジュバントにより生成される抗体価は、従来のアルミニウム塩アジュバントの800倍以上であり、右手性アジュバントの1580倍以上になる。低温電子顕微鏡やフローサイトメーターなどの装置の力を借りて、研究者はキラルアジュバントが免疫細胞に入り、免疫応答を刺激するメカニズムを発見した。(c)Xinhua News/AFPBB News