【4月6日 AFP】英ケンブリッジ大学(Cambridge University)図書館は5日、21年間行方不明になっていた自然科学者チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)のノート2冊が、匿名で返還されたと発表した。ノートには、「進化論」に関する先駆的な概念や、有名な「生命の樹」のスケッチが書き留められている。

 ノートをめぐっては2001年、特別所蔵品の写真撮影のため重要書庫から取り出されて以降、行方不明になっていると報告されていた。

 2冊はピンク色のギフトバッグに入った状態で、キリスト教の復活祭にちなみ「ハッピーイースター」とタイプされた司書宛てのメッセージと共に、図書館の公共エリアの床の上に置かれているのが見つかった。状態は良好で、損傷の明らかな痕跡はないという。

 ダーウィンは1837年、英海軍の測量船ビーグル号(HMS Beagle)での航海から戻ると、この革張りのノート2冊にたくさんの書き込みを行った。図書館は、その価値は何億円にも上ると説明していた。

 うち1冊には、種の進化における複数の可能性を示す図が記されている。ダーウィンはこの図をさらに発展させたものを、1859年の「種の起源(On the Origin of Species)」で発表した。

 2020年にノートの盗難の恐れを訴えていた同図書館司書のジェシカ・ガードナー(Jessica Gardner)氏は、「ノートが無事に戻ったことに深く安堵(あんど)している。その安堵感は十分に表現できないほどだ」と喜びを示した。(c)AFP