【4月5日 AFP】国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は4日、地球温暖化対策に関する最新の評価報告書を公表し、人類が「生存可能な未来」を確保するためには、温室効果ガスの排出を3年以内に減少に転じさせ、2030年までにほぼ半減させる必要があるとの見解を示した。

 IPCCは、今からでも目標の達成は可能だと強調。ただし、各国が現状の対策に固執すれば、破局的な気温上昇につながるとしている。

 アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)国連事務総長は、報告書の公表に際してビデオメッセージを寄せ、「一部の政府首脳や企業幹部は言行不一致だ。率直に言えば、うそをついている。その結果は破局的なものになるだろう」と、気候変動対策に消極的な一部諸国や企業を非難した。

 報告書は、目標達成のためには多大な投資と「即時の行動」が必要であり、その影響は現代的な生活のほぼ全面に及ぶと説明。最優先課題として、温室効果ガスの排出をピークアウトさせることを挙げた。

 地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」では、今世紀末の気温上昇を産業革命前から2度未満、可能なら1.5度にとどめるという目標を掲げている。

 報告書は、2度未満の目標を達成するには25年までに排出量をピークにする必要があると指摘。1.5度の努力目標を達成するには、30年までに43%、50年までに84%の排出削減が必要とした。

 さらに、排出量の削減だけに頼るのではなく、大気中から二酸化炭素(CO2)を回収する技術を大幅に向上させる必要があるとしている。(c)AFP/Kelly MACNAMARA, Marlowe HOOD