■「アイフォーンの方が高価」

「ネベスナ・カラ」には主要メンバーの他に10人の「助言者」がおり、さらにオンラインチャットを通してドローン愛好家877人の知識を借用している。

「ネベスナ・カラ」のドローンは、市販のドローンキットや3Dプリンターで作ったパーツ、中国企業のネットショップで買った部品で作られている。

 アレックスさんによると、ドローン製作はほぼ寄付で賄われている。激しい戦闘が続く地域で活動する軍のスペシャリストが必要な機能について要望を寄せ、「ネベスナ・カラ」が寄付金を使って特殊な仕様に合わせて作られている。

 費用対効果は非常に高い。

 メンバーの一人、ドミトリーさんは、ドローンから撮影された動画を携帯電話で見せてくれた。ロシア軍の塹壕(ざんごう)沿いを飛び、土をかけて隠された武器の場所を特定できるという。

 自分たちが作るドローンより、「iPhone(アイフォーン)の方が高価だ」と話した。

 製作室の横には出荷を待つドローンや交換用の部品が入った小包が積まれていた。

 うち一つは、南部ミコライウ(Mykolaiv)に送られる。同市では3月29日に州庁舎がミサイル攻撃を受け、28人が亡くなっている。

 小包には赤と青のフェルトペンで「ネベスナ・カラから愛を込めて」と書かれていた。(c)AFP/Joe STENSON