【4月5日 AFP】タジキスタンの首都ドゥシャンベで報道関係の仕事をしているエモマリ・サファロフ(Emomali Safarov)さん(24)。ロシアに出稼ぎに行き、建設作業現場で働いていた。今は、給料は安いが、自国で元の職業に復帰した。

 これからどうするか、考えていない。ロシアがウクライナに侵攻した2日後、西側諸国の対ロ制裁が発動される中、ロシアからぎりぎり脱出できたことにほっとしている。

「ロシアで30年以上働いているという出稼ぎ労働者の話を聞いた。口々に、今のロシアは昔とは全く違うと言っていた。状況は非常に悪い。働くのもとても難しくなっている」と語った。

 求人が減ったロシアで、暴落した通貨ルーブルで給料をもらい続けるか、もしくは求人はさらに少ないものの家族が住む故郷に戻るか。旧ソ連の構成国だった中央アジアの国々から何十万人も来ている出稼ぎ労働者は、選択を迫られている。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)氏が大統領に就任してから最初の2期は、エネルギー価格の上昇を追い風に、タジクなどから労働者がロシアに押し寄せた。

 タジクでは、国外に出稼ぎに出ている労働者からの送金が国内総生産(GDP)の25~40%程度を占めている。

 しかし、2014年のロシアによるウクライナ・クリミア(Crimea)半島併合に対する西側諸国の制裁や石油価格の下落などにより、送金額は減っていた。

 さらに今回のウクライナ侵攻で、ルーブルの価値は約5分の1低下。西側諸国は今年のロシアの経済成長率はマイナス5~10%にまで落ち込み、23年もマイナス成長が続くと予測している。

 タジクは旧ソ連構成国の中でも最も貧しく、平均月収は100ドル(約1万2000円)程度。人口950万人の大半はイスラム教徒だ。

 サファロフさんによると、侵攻前にはモスクワやクリミアの工事現場で月700ドル(現在のレートで約8万6000円)稼げれば、家族に200ドル(同約2万5000円)を送金できた。