【5月15日 AFP】ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)州のグアナバラ湾(Guanabara Bay)。周囲にはエメラルド色の丘陵が広がり、右手には岩山ポンジアスーカル(Sugarloaf Mountain)、丘の上にはコルコバードのキリスト像(Christ the Redeemer)がそびえ立つ。だが、見事な景観を台無しにしているものが一つある。湾が放つ悪臭だ。未処理の下水や工場から排出される汚染物質が流れ込み、ごみが浮かんでいる。

 人口1250万人を抱えるグアナバラ湾の流域系には長年、有毒な化学物質や下水が垂れ流され、ごみが捨てられてきた。下水の54.3%は未処理だ。

 事態が改善されないまま数十年がたち、州当局は昨年、ようやく解決策を発表。水道公社Cedaeを民営化し、運用権をブラジル最大の汚物処理企業の系列会社、アグアス・ド・リオ(Aguas do Rio)に売却した。

 同社は、グアナバラ湾の浄化を約束。今後5年間で27億レアル(約670億円)を投じて廃水処理システムを立て直し、グアナバラ湾をきれいにするとしている。

 だが、過去の計画はいずれも頓挫したため、地元住民は懐疑的だ。

 1994年、州は下水処理場に12億ドル(約1500億円)を投資する計画に乗り出したが、下水道網は未整備のまま。2016年のリオデジャネイロ五輪に向けて10億ドル(約1290億円)近い予算を計上したが、大会開幕の数週間前に財政危機による非常事態を宣言。下水処理率を80%までに引き上げるという公約が果たされることはなかった。