【4月3日 AFP】ロシアによる侵攻を受けているウクライナに対しては、ミサイルや無人機など多数の兵器が米国から提供されている。防衛関連企業が直接、利益を得ているわけではないが、対ロシア防衛力の強化を目指す各国の需要に応じることで、長期的には大きな利益がもたらされるとみられる。

 米国は、自国軍が保有する携帯式の地対空ミサイル「スティンガー(Stinger)」や対戦車ミサイル「ジャベリン(Javelin)」をウクライナに供与した。製造元の米ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)やレイセオン・テクノロジーズ(Raytheon Technologies)への代金支払いは既に終わっており、近く発表される各社の第1四半期決算に大きく影響するものではない。

 だが、ウクライナに送られた分に相当する米軍の兵器備蓄は補充の必要がある。米国防総省の報道官は、3月中旬に成立した予算に計上された35億ドル(約4300億円)をその費用に充当する方針だとAFPに語った。

 防衛産業の専門家によれば、スティンガーやジャベリンの増産で製造元が得られる利益はそれほど大きくない。

 投資調査会社CFRAのコリン・スカローラ(Colin Scarola)氏は「今後1年間、スティンガーとジャベリンを毎月1000基ずつ東欧に出荷するとしたら、10億〜20億ドル(約1200億~2450億円)の売り上げになるだろう」と話す。しかし、レイセオンの昨年の売上高640億ドル(約7兆8000億円)、ロッキードの670億ドル(約8兆2000億円)に比べればわずかだ。

 一方、金融情報サービス会社モーニングスター(Morningstar)のバーケット・ヒューイ(Burkett Huey)氏は「ウクライナでの戦争は、過去30年間見られなかったような、地政学的秩序を塗り替えるものだ」と指摘。「人々は世界の安全の度合いが大幅に低下し、恐らく防衛投資を増額する必要があることに気付き始めた。それは受注企業の利益につながるだろう」 と述べた。(c)AFP/Juliette MICHEL