【4月3日 CNS】亡くなった人の顔や体を修復し、生前の姿に近づけて最後の旅立ちを見送る──。それが納棺師の仕事だ。中国東北部・黒竜江省(Heilongjiang)ハルビン市(Harbin)の女性、李卓(Li Zhuo)さんもその一人だ。冷たくなった体に化粧を施し、病気や事故で皮膚や臓器に損傷のある人の見た目を整えるなど、「おくりびと」の仕事は簡単ではない。

「例えば肝臓病や胆のうの疾患で亡くなった方は、顔や全身がかなり黄色くなります。遺族の希望に応えて、生前の姿に近くできた時は『眠りについているようだ』と満足していただきました」

 特別視される職業のため、納棺師を敬遠したり話題を避けたりする人も少なくない。業界では、親戚や友人の結婚式などの祝い事には出席しない、名刺を渡さない、握手をしないなど「暗黙の了解」があるという。

 李さんも偏見の目で見られたり、心ない言葉を向けられたりするが、自分の仕事に誇りを持っている。「やるべき仕事を果たし、遺族が故人に最後の別れを告げる光景を見るとき、心の中でいつも感動しています」と話す。

 納棺師への偏見を打ち破るため、李さんはインターネットのライブ配信を始めた。「仕事内容やさまざまな対処方法、葬儀にまつわる知識を伝えたかった」

 ネットユーザーからは当初、「どうしてこの仕事を選んだのか」という質問が多かったが、最近は「自分をいたわって」「ゆっくり休んで」というコメントが増えた。「たまに偏見交じりの質問があると、常連のユーザーが代わりに答えてくれるようになりました」という。

 納棺は遺族が故人に感謝と別れを告げる大切な儀式だ。李さんは、自分の努力によって故人の最後の姿を美しく飾り、悲しみに満ちた遺族に愛と慰めの光をもたらそうとしている。そして、より多くの人々に納棺師の仕事を理解してほしいと願っている。(c)CNS/JCM/AFPBB News