【3月31日 Xinhua News】3300万年前、1頭のワニが新鮮なふんを踏み、その足跡が今日まで残った。中国科学院古脊椎動物・古人類研究所はこのほど、研究チームがベトナム北部でこの珍しい足跡を発見したと発表した。ワニの足跡をとどめたふんの化石が見つかったのは初めてという。研究成果は、古生物分野の国際学術誌「Palaeoworld」の電子版に掲載された。

 2018年、同研究所の鄧濤(Deng Tao)研究員とベトナムの関係機関による共同研究チームがベトナムでのフィールドワークの際、100点以上のふん化石とさまざまな脊椎動物の化石を発見。その中にワニの足跡付きのふん化石も含まれていた。

 論文の責任著者でもある同研究所のポール・ラミー(Paul Rummy)博士によると、足跡は長さ約4センチで、3300万年前の体長約2メートルのワニのものと思われ、右前足の第4趾(薬指)と第5趾(小指)で構成されている。同氏は「このような化石が保存されるためには、踏まれた時点でふんが新鮮で、地面が軟らかく湿っていなければならない。そうした環境であれば、踏んだ足跡が残り、壊されることもない」と語った。

 ワニは社会性のある爬虫(はちゅう)類で、通常は群れで生活しているため、ワニが当時踏んだものが自らのふんであったかどうかは、科学者にも判断がつかない。同氏は、ワニの足跡化石は比較的よく見られるが、ワニのふん化石と足跡化石が共存していたケースは初めてだと説明した。新鮮なふんは、軟らかい構造と脂肪含有量から、大抵の堆積物よりも優れた形状保存の役割を果たすという。

 ふん化石の研究はここ数年、広く注目され、学術体系が確立されつつある。古生物学分野での新たな研究対象として、ふん化石は既に生痕化石研究の非常に重要な一角を占め、生物の行動の特徴を保存する上で、重要な役割を果たしている。ふん化石の研究を通じて、科学者は生物の食性や生活環境、生物多様性などを分析し、判断することができる。(c)Xinhua News/AFPBB News