【3月30日 AFP】インドネシア・スマトラ(Sumatra)島の保護区で、絶滅の危機にひんするスマトラサイが雌の赤ちゃんを出産した。同国の環境・林業省が発表した。スマトラサイの出産成功例はまれで、保護活動への追い風となる。

 同省の高官は28日の声明で、政府や提携機関は個体数の増加を図っており、今回の出産は「とてもうれしいニュース」だと述べた。

 赤ちゃんはスマトラ島のウェイカンバス国立公園(Way Kambas National Park)で24日に誕生。同園の個体数は計8頭になった。母親は2005年に繁殖のために連れてこられた野生の個体で、これまでに8回流産。父親は、保護区で約120年ぶりに誕生したスマトラサイだった。

 スマトラサイは世界最小のサイの仲間。世界自然保護基金(WWF)によると、生息数はインドネシアのスマトラ島とカリマンタン(Kalimantan、別名ボルネオ、Borneo)島を中心に世界全体で80頭を下回っている。国際自然保護連合(IUCN)により「深刻な危機(CR)」にある種に分類されている。

 個体数減少の原因は密猟や気候変動などとされる。サイの角は中国伝統薬の原料として違法取引されることが多い。

 映像は24日撮影・提供。(c)AFP