【4月3日 AFP】ウクライナ西部の都市、リビウ(Lviv)の動物救護センターに次々と運び込まれる動物たち──。ロシアの侵攻に伴い、国外へと避難する人々に置き去りにされるペットだ。

 動物救護センター「Home for Rescued Animals」ではこれまで、ペットとしてはあまり一般的ではない動物を主に保護してきた。目の白濁したオオカミがおりの中にいたり、春の光を浴びて顔をくしゃくしゃにするヤギがいたりする。日陰の止まり木ではフクロウが数羽、周りをのぞいている。そして今、放置されたペットが同様に保護されている。

 敷地内の離れには、首都キエフからやって来た十数匹の猫が入れられている。悲しそうな声を上げてボランティアに散歩をせがむ犬がいるのは作業小屋だ。

「ハリコフ(Kharkiv)、キエフ、ミコライウ(Mykolaiv)から来て、リビウ経由で国外に逃れる人々が置き去りにしていった動物がたくさんいます」と管理人のオレスト・ザリプスキ(Orest Zalypskyy)さん(24)は説明する。

 珍しい動物の「保護区」として運営されてきたこのシェルターは、13世紀にさかのぼる歴史的都市リビウを見下ろす丘にある。「この戦争でさらに忙しくなりました」とザリプスキさんは言う。

 ポーランド国境まで70キロの地点にあるリビウは、国外脱出する多くの人にとって、国内最後の中継地だ。これから難民となる人々にとって、ペットを一緒に連れて行くことは難しい。

 ザリプスキさんによるとロシアの侵攻開始以降、ウクライナ東部の「紛争地域」の避難民やシェルターから引き取った動物は、約1500匹に上るという。

 すでに戦火にまみれている東部から来たある犬は2週間、犬舎から離れようとしなかった。7年間連れ添った飼い主に捨てられた猫は、ひどく打ちひしがれている。

 ボランティアのメンバーは「みんなかまれたり、引っかかれたりしています」とザリプスキさん。「動物たちは大きなストレスを感じています」

 だが、ここに残された動物が放置されることはない。すでに約200匹がリビウ市民に引き取られ、残りの大半はボランティアによってドイツ、ラトビア、リトアニアの受け入れ先に運ばれている。(c)AFP/Joe STENSON