【4月3日 AFP】モロッコのアンティアトラス山脈(Anti-Atlas Mountains)奥地の村で生まれたナディアさん(仮名、20)は16歳の時、父親と言っていいほどの年齢の男性と結婚させられた。法律の抜け穴のせいで、児童婚を余儀なくされる少女は年間数千人に上っている。

「地獄を味わいました。でも、その悪夢は終わりました」とナディアさんは話す。

 夫には暴力を振るわれ、1年で離婚した。今は両親が住む村の実家に戻り、読み書きを学んでいる。

「私の夢は自立すること。村の他の女の子たちにも、そうするよう励ましています」。スカーフで顔を半分隠し、恥ずかしそうにナディアさんは話した。

 モロッコの2004年の家族法では、婚姻開始年齢は18歳と定められているが、裁判官に特別許可を受けた家族は18歳未満でも子どもを結婚させることができる。

 人権団体は長年、この抜け穴をふさぐよう要請してきた。しかし、公式の統計によると、2020年だけで約1万3000件の特別許可が与えられている。

 しかも、この件数には、法に基づかない慣習的な結婚──イスラム教の聖典コーラン(Koran)の一節を2人の証人と読んだだけで結婚したものと見なされる──は含まれていない。

 人権団体「YTTO」はこの10年、モロッコ山間部の村々で毎年、児童婚のリスクを訴える啓発運動を行い、討論会を開催するなどの支援を行ってきた。

 2014年の最新統計によると、スースマサ(Souss Massa)地方では、女性の44%以上は読み書きができない。

 児童婚を根絶するカギは女性の教育と経済的な自立だと、YTTOでモロッコ南部のコーディネーターを務めるカリマ・エレジュラジ(Karima Errejraji)氏は話す。

 エレジュラジ氏自身も、子どもの頃は一度も学校に行ったことがなく、14歳の時に自分の年齢の4倍にもなる56歳の男性と結婚した。