【3月29日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は28日、2023会計年度(22年10月~23年9月)の予算教書を発表した。ウクライナへの支援に数十億ドル(数千億円)を充当する一方、富裕層への課税などを通じ、財政赤字の削減を目指す。

 バイデン政権は、支持率の低迷や記録的なインフレ、長期化する新型コロナウイルス流行に伴う先行き不透明感に直面。バイデン氏が掲げる一連の政策を実現するための予算要求額は5兆8000億ドル(約720兆円)に上った。

 予算教書は議会の承認を得る必要がある。議会は与党民主党が辛うじて過半数を握っているが、与野党から修正を迫られるのは確実だ。

 予算教書には、ロシアの侵攻を受けるウクライナや、北大西洋条約機構(NATO)に対する計69億ドル(約8500億円)の支援が盛り込まれた。それとは別に、ロシアの影響力に対抗するための予算として10億ドル(約1200億円)を要求した。

 国内の格差是正に向け民主党内の急進派が求めている富裕層への増税として、資産1億ドル(約120億円)以上の世帯を対象に、税率最低20%の連邦所得税の導入を目指す。また、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権が21%に引き下げた法人税率を28%に戻すとした。

 ホワイトハウス(White House)は、今年度の財政赤字は前年度比1兆3000億ドル(約160兆円)圧縮できると試算。ただ、24兆8000億ドル(約3060兆円)に上るとみられる公的債務は今後も膨らみ続ける見通し。(c)AFP/Chris Stein