【3月28日 AFP】中米エルサルバドルの国会は27日、犯罪組織間の抗争に関連する殺人が急増しているのを受け、非常事態を宣言した。

 宣言はナジブ・ブケレ・オルテス(Nayib Bukele Ortez)大統領が要請していた。

 警察によると、死者数は26日だけで62人に上った。中部ラリベルタ(La Libertad)で12人、首都サンサルバドルと西部アウアチャパン(Ahuachapan)でそれぞれ9人が殺害された。

 25日にも抗争の末、14人が殺害された。警察や軍部は一連の殺人事件に関与している疑いがあるとして、犯罪組織「マラ・サルバトルチャ(Mara SalvatruchaMS-13)」の複数の幹部を非常事態宣言の数時間前に逮捕した。

 宣言により、結社・集会の自由が制限される。裁判所の命令なしに手紙が開封されたり、電話や電子メールが傍受されたりする可能性もある。

 また、当局による72時間以上の拘束が可能になる上、逮捕理由を知らされなかったり、拘束後、弁護士への接見を制限されたりすることもある。

 犯罪組織は殺人や恐喝、麻薬密売に携わっており、マラ・サルバトルチャや「バリオ18(Barrio 18)」といった組織の構成員は計約7万人。ブケレ氏は、そのうちの1万7000人超を収容しているすべての刑事施設について、警戒水準を最大限にすることを宣言した。

 ブケレ氏は「すべての監房が24時間閉じられ、誰も屋外に出られなくなる」とツイッター(Twitter)に投稿。「これは犯罪組織へのメッセージだ。自分たちの行動のために『仲間』は日の目を見ることができなくなった」 (c)AFP