【3月27日 AFP】真っ赤な機関車にけん引された8両編成の貨物列車が、ドイツの首都ベルリンの中心部をゆっくり出発する。行き先はウクライナ。ロシアの侵攻を受けるウクライナに人道支援物資を届ける「鉄道の橋」だ。

 大量の食料や生活必需品を4日かけて1000キロ以上先の目的地へと運び、必要とする人々に届ける。

 ドイツ鉄道(DB)のこの取り組みは、東西冷戦(Cold War)期に旧ソ連に封鎖されたベルリンに物資を届ける「大空輸作戦」の鉄道版だ。ドイツでは、大空輸作戦は「空の橋」と呼ばれている。

 DB貨物輸送部門のトップ、ジークリット・ニクッタ(Sigrid Nikutta)氏は、ポーランド、ウクライナ両国の鉄道の協力により「わずか4日で」輸送態勢が構築されたと述べた。現在、物資は定期的にウクライナへ届けられている。

 貨物列車は、ドイツ各地の企業や個人から支援団体を通じて寄せられた物品や、メーカーやスーパーマーケットチェーンから直接寄付された品々を載せて1日おきに夕方、ベルリンを出発する。

 離乳食や生理用品、小型電化製品、医薬品、マットレス、毛布などを満載したコンテナは、ポーランドに到着後、地元ドライバーに託される。ウクライナまで届けられると、同国国営鉄道会社に引き継がれる。

 DB貨物輸送部門の広報担当者ミハエル・シュミット(Michael Schmidt)氏は、「鉄道の橋」がロシア軍の攻撃を受けるリスクは限定的だと語る。「私たちは武器も石油も運んでいない」

 シュミット氏はまた、「ロシアは(ウクライナの鉄道)インフラを良い状態に保っておく必要がある」ため、侵攻が始まって以降もほとんど攻撃を受けていないと話した。

 ニクッタ氏は、これまでのところすべての貨物列車が安全にウクライナ各地に到着したと、誇らしげに語った。(c)AFP/Sophie MAKRIS