【3月28日 AFP】欧州の紛争で小型核兵器が使用されるのではないかとの懸念が浮上してきた。ロシアのウクライナ侵攻までは、想像だにされなかったことだ。ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が「戦術核」の使用に踏み切る可能性について、Q&A形式でまとめた。

Q:懸念なぜ生じた

A:プーチン大統領はウクライナ侵攻開始から4日目の先月27日、核抑止力部隊を厳戒態勢に移行するよう命令した。西側の大半の専門家はこの動きについて、米国やその同盟国が既存の経済制裁や武器供与の枠を超えて対ウクライナ支援を拡大するのをけん制する狙いがあると分析している。

Q:ロシアの核兵力の規模、使用が懸念される核の種類は

A:スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、ロシアが保有する核弾頭は6255発と、世界最多だ。

 専門家はウクライナで想定されるリスクについて、地球全体に脅威を及ぼす大型の「戦略核兵器」の使用はないとみている。プーチン大統領が、欧州全体を脅かさずに局所的な破壊にとどめる小型弾頭を搭載した「戦術核兵器」の使用を検討する可能性はあるとみられている。

 戦術核の威力は大小さまざまだ。起爆させるのが地上か空中かによっても破壊力は異なる。

Q:核兵器は最終手段ではないのか

A:核兵器は最終手段だ。しかし、ロシア側が戦闘で大敗を喫したり、国内の経済問題が深刻化したりしてプーチン氏の政治生命が脅かされ、窮地に追い込まれたと感じる可能性もある。ウクライナや西側諸国が危惧しているのはその点だ。

 戦術核を使う場合、ウクライナ軍の抵抗を打ち砕き、ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領に降伏を強いるのが狙いと考えられる。

 ロシア問題に特化したシンクタンク「リドル(Riddle)」の専門家、パベル・ルージン(Pavel Luzin)氏は、第1段階としては、威嚇行動として、戦術核が海上ないし非居住地域で使用され得ると予想。「それでも敵が戦闘継続の意思を示せば、敵に対して直接使用される可能性がある」とし、都市が標的とされる恐れもあるとの見方を示した。