【3月25日 AFP】イタリア・トスカーナ(Tuscany)州マッサ(Massa)の造船所に、全長140メートルの豪華ヨットが停泊している。ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が所有している可能性があるとの臆測が広がり、伊当局が捜査に乗り出している。

「シェヘラザード(Scheherazade)」と名付けられたヨットは推定7億ドル(約860億円)で、ドイツの造船会社リュールセン(Lurssen)が2020年に建造した。豪華ヨットやその所有者を紹介するウェブサイトによると、二つのヘリポートやプール、映画館を備えている。

 ロシアが先月ウクライナに侵攻して以降、欧州ではロシアの新興財閥(オリガルヒ)が所有するヨット数隻が差し押さえられている。仮にヨットがプーチン大統領につながるとすれば、最も注目を集める事案となる。

 当局筋はAFPに対し、捜査は数日以内に終わる可能性があるとしながらも、「所有者を割り出すのは常に容易とは限らない」と述べた。

 収監されているロシア反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏の反汚職団体が21日にユーチューブ(YouTube)に投稿した動画には、英国人の船長を除いて乗組員は全員ロシア人で、プーチン大統領につながる数人の警備担当者が含まれているとの指摘があった。

 しかし地元の造船所の労働者らで構成する団体の代表が23日に語ったところによると、クルーはここ数日のうちに全員英国人に変わった。理由は不明だという。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、ヨットがプーチン大統領につながっているとの証拠を米当局が入手していると報じている。今月同紙のインタビューに応じた英国人船長は、大統領は所有者ではなく乗船したこともないと主張したものの、所有者の名前は明かしていない。(c)AFP