【3月24日 AFP】ロシアがウクライナ侵攻を開始して24日で1か月を迎えた。短期決戦に失敗したロシア軍は、民間人の犠牲をいとわない消耗戦に持ち込もうとしているもようだ。

 米政府によると、ロシア軍はこのところ、ウクライナ側の抵抗により地上部隊の進攻が阻止されているため、空爆や艦砲射撃を強化している。攻撃部隊は首都キエフから北西15キロ、東方30キロの地点で足止め状態で、可能な攻撃は遠隔での砲爆撃のみとなっている。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領はウクライナで「窮地に立たされている」と指摘。米国防総省のジョン・カービー(John Kirby)報道官はCNNに対し、食料や燃料が不足し、士気の低下したロシア兵をウクライナ側が「追撃」している局面さえあるとの見方を示した。

 ロシアによるウクライナ侵攻の最大目標は、キエフ制圧およびウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)政権の転覆だったとみられる。だがロシアは、15万~20万人の兵力を動員しながらも、ウクライナ側の強い抵抗を予想できず、後方支援の準備も不十分だった。

 ロシアは現在も制空権を完全に掌握しておらず、作戦全体に支障をきたしている。フランス軍の元幹部はAFPに対し、地上部隊と空軍の連携不足や攻撃の精度の低さを指摘し、「ロシアは真の指揮・統制方針を欠いている」と分析した。

 1か月でロシア軍が制圧できた主要都市は南部のヘルソン(Kherson)のみ。ロシア側の作戦は各拠点での包囲戦へと移行しており、狙いはウクライナ国民を消耗させ、戦意を喪失させることにあるとみられる。南東部のマリウポリ(Mariupol)では包囲が長期化し、世界中から非難を浴びている。

 欧州の北大西洋条約機構(NATO)関係筋はAFPに対し、「歩兵部隊の苦戦の度が増すにつれ、ロシア軍は残忍さと過剰な空軍力の行使を強めるだろう」と予想。「プーチン(大統領)には取引が必要だ。そのために勝利を必要としている」と語った。(c)AFP/Daphné BENOIT