【3月27日 AFP】ロシアが侵攻を開始して以降、ウクライナ西部の都市リビウ(Lviv)にある印刷会社では、愛国心をあからさまに押し出した広告板やポスター、横断幕、ステッカーなどの作製で忙しい。 

 インクのにおいが鼻を刺す裏通りの工場は、他の多くの印刷工場同様、ウクライナの勝利を叫ぶ戦時スローガンを刷り続けている。

 工場長のウォロディミル・コトビッチ(Volodymyr Kotovyc)さん(26)は、床に丸太のように積み上げられた印刷用ロール紙をよじ登りながら「私たちにとって、これはプロパガンダではありません」と言う。「私たち国民を奮い立たせる愛国スローガンであり、兵士たちの士気高揚のためのものです」

 人口70万人のリビウはウクライナ文化の中心地として知られている。侵攻前は舞台公演や美術展の宣伝を至る所で見かけ、市内は芸術的なエネルギーで満ちあれていた。

 だが先月24日にロシアの侵攻が始まってからは、官民の発信物から落書きアーティストに至るまで、勝利に向けたメッセージで彩られている。

 ある広告板には、ウクライナの紋章を付けたブーツに踏まれてゆがんだロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の顔が描かれていた。

 第2次世界大戦(World War II)時代を思わせる別の広告板には、うなり声をあげるロシアのクマが、ウクライナ軍の黄色い腕章を着けた小さなアナグマにかみちぎられているイラストがあった。

 自らの活動についてコトビッチさんは、国が試練を与えられているときに連帯の表明を求める草の根の声であり、プロパガンダとは違うと語る。

「ロシアで目にするのがプロパガンダです。プロパガンダは、真実と全く違うことが国民に知らされる国で起きるものです」とコトビッチさん。「私の活動はウクライナ国民のためのものです」 (c)AFP/Joe Stenson and Clara Marchaud