【5月1日 AFP】チュニジアの砂漠のあるオアシスが、何十年にもわたる農業用水の乱用によって枯渇してしまった。だが今、「エコロッジ」と呼ばれる環境配慮型の宿泊施設を中心とするプロジェクトの一環で、オアシスの復活が試みられている。

 水を大量消費するナツメヤシの大規模農園に代わり、基本に立ち返った持続可能な方法で、かつてサハラ(Sahara)砂漠を往来したキャラバン(隊商)の伝統とその中継地を復活させるのが狙いだという。

 オアシス復活の試みが行われているのは、 首都チュニスから車で7時間のところにあるネフタ(Nefta)。農民のモハメド・ブガア(Mohamed Bougaa)さん(63)は「ヤシの木の間では、何でも育ちます」と話す。「野菜、果物、必要なものは何でもあります。ピーマン、トマト、ニンジン…太陽と水があれば、何だってできます」

 だが、そのネフタのオアシスは、特産であるナツメヤシ栽培のためのかんがいで、20年前に枯渇してしまった。

 適切な規模ならば、ナツメヤシ農場は持続可能な方法で運営できると語るのは、エコ観光ロッジ「ダーハイ(Dar Hi)」を営むパトリック・アリエルウアルギ(Patrick Ali El Ouarghi)氏。

 自然の生態系を模倣した有機的な栽培方法は持続型農業の理想的な形態で「ヤシの木が果樹を保護し、果樹が野菜畑を保護する。オアシスでは自然なことです」と言う。

 エコロッジの「ヤシ研究所」では、技術者、建築家、アーティストらがオアシスの保存方法について話し合っている。

■甘味料を開発

「ダーハイ」からさほど遠くないところでも、オアシスから新たな価値を創り出す人がいる。以前は北部スース(Sousse)に住んでいたという米国人のケビン・クレイ(Kevin Klay)さん(35)だ。南部を訪れた際にナツメヤシのとりこになったと話す。

 そうした中であることに気が付いた──ナツメヤシの無駄な破棄だ。「20~30%が小さな傷のせいで使われずに、捨てられていたのです」

 クレイさんはナツメヤシ数キロを購入して種を取り除き、乾燥させてコーヒーグラインダーにかけた。その結果、「白砂糖の5分の1のカロリー」の甘味料が出来上がった。

「大きな需要があります。特に私たちの主な市場である米国では」とクレイさんは語った。(c)AFP/Francoise Kadri