【3月23日 AFP】ロシア軍の包囲攻撃が続き「地獄絵図」と化したウクライナ南東部の都市マリウポリ(Mariupol)で22日も、住民避難の試みが続けられた。一方、国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は、「不条理な戦争」をやめるようロシアに呼び掛けた。

 アゾフ(Azov)海に面した要衝の地であるマリウポリは、1か月近くにわたってロシア軍の容赦ない攻撃を受けているが、ウクライナ当局は依然、陥落していないとしている。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)によると、マリウポリにはまだ20万人以上が取り残されている。どうにか市外に逃れることができた人は同市の状況を「死体とがれきで埋め尽くされた地獄絵図」と表現した。

 イリーナ・ベレシチューク(Iryna Vereshchuk)副首相はビデオ演説で「全住民を(22日中に避難させる)余地がないことは承知しているが、全員が脱出できるまで試みを続ける方針だ」と語った。

 マリウポリ市当局によると、救助活動中に「非常に強力な爆弾」2発が着弾した。

 グテレス氏は「マリウポリが陥落したとしても、ウクライナのすべての都市、すべての通り、すべての住居を制圧することはできない」と指摘。「この戦争に勝者はいない。遅かれ早かれ、戦場を離れ、和平交渉の場へ移らざるを得ない。それを避けて通ることはできない」と述べた。(c)AFP/Danny Kemp and Dmytro Gorshkov