【3月22日 AFP】第2次世界大戦(World War II)中、ナチス・ドイツ(Nazi)の強制収容所を生き延びた、ウクライナ人のボリス・ロマンチェンコ(Boris Romantschenko)さんが18日、ロシア軍の砲撃を受け、亡くなった。96歳だった。ドイツのブーヘンバルト・ミッテルバウドーラ記念財団(Buchenwald and Mittelbau-Dora Memorials Foundation)が21日、発表した。

 同財団が息子と孫の情報として伝えたところによると、ウクライナ東部ハリコフ(Kharkiv)の住居が砲撃された。

 ロマンチェンコさんは、ブーヘンバルトドーラ国際委員会(Buchenwald-Dora International Committee)の副委員長を務め、ナチス・ドイツ時代の恐怖を伝える活動を行っていた。

 ロマンチェンコさんは1926年1月20日、ウクライナ北東部スムイ(Sumy)近郊ボンダリ(Bondari)で生まれた。ユダヤ人ではなかったが、16歳だった1942年に独西部ドルトムント(Dortmund)に連行され、労働を強いられた。

 逃走を試みたが失敗し、1943年にブーヘンバルト(Buchenwald)強制収容所に送られた。その後、ペーネミュンデ(Peenemuende)強制収容所に移され、V2ロケットの建造を手伝った。ミッテルバウドーラ(Mittelbau-Dora)、ベルゲンベルゼン(Bergen-Belsen)にも収容された。

 ウクライナ大統領府のアンドリー・イェルマーク(Andriy Yermak)長官は、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が「非ナチ化」をウクライナへの侵攻理由の一つに挙げていることに触れ、「これが彼らの呼ぶ『非ナチ化作戦』だ」と非難し「全世界がロシアの残虐さを目の当たりにしている」と述べた。

 支援団体のネットワークによると、ウクライナには約4万2000人のホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大虐殺)生存者がいる。(c)AFP