【3月19日 AFP】米航空宇宙局(NASA)の月探査ミッションに使用される新大型ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」が18日、フロリダ州ケネディ宇宙センター(Kennedy Space Center)の発射台に到着した。今後、一連の試験を経て、今夏に月への無人飛行に臨む。

 SLSは17日夜、クローラーと呼ばれる移送用車両に載せられ、ケネディ宇宙センターのスペースシャトル組立棟(Vehicle Assembly Building)を出発。約11時間後の翌18日午前4時15分(日本時間同日午後5時15分)、アポロ(Apollo)計画やスペースシャトル発射にも使用された39B発射台に到着した。同センターには移送の様子を見に約1万人が集まった。

 宇宙船「オリオン(Orion)」を搭載したSLSロケットの高さは98メートルで、自由の女神像(Statue of Liberty)よりも大きいが、アポロ計画に使用された高さ111メートルのサターンV型(Saturn V)ロケットよりはやや小さい。

 米国の宇宙開発分野での野心を象徴するSLSロケットには、巨額の資金が投じられた。NASAのポール・マーティン(Paul Martin)監査官が今月、米議会に報告したところによると、有人月面着陸計画「アルテミス(Artemis)」の初回4回の打ち上げ費用は1回あたり41億ドル(約4900億円)。

 5月以降に実施される1回目のミッションでは、無人のオリオンを月のさらに先約6万4000キロの場所まで運ぶ予定。地球からの移動距離は約45万1000キロに達し、人員が搭乗可能な宇宙船としては史上最長の飛行となる。オリオンは3週間にわたり、キューブサット(CubeSat)と呼ばれる靴箱ほどの大きさの衛星10基を使い、深宇宙環境に関する情報を収集する。

 2回目ミッションでは有人の月周回飛行を実施。2025年に予定される3回目ミッションでは、女性や非白人の飛行士が史上初めて月面に着陸する。(c)AFP/Issam Ahmed with Gregg Newton at the Kennedy Space Center