飢えと病からライオン回復 スーダンの保護区
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【4月16日 AFP】スーダンの首都ハルツームにあるさびれた動物園で、病気にかかり、痩せこけていた雌ライオンの「カンダカ(Kandaka)」。野生動物保護団体などの努力で自然保護区へと移され、今では子ライオンたちが育つのを元気に見守っている。
ハルツームのクレシ(Al-Qureshi)動物園では、鉄格子がさびたおりの中で、カンダカをはじめ5頭のライオンが飢えと病気に苦しんでいた。皮膚はたるみ、あばら骨は浮き出ていた。
スーダンでは2019年、数か月にわたる反政府デモの末、独裁支配を続けたオマル・ハッサン・アハメド・バシル(Omar Hassan Ahmed al-Bashir)政権が崩壊した。混乱による経済危機が深まる中、ライオンを取り巻く状況も悪化。崩れかかった動物園にいた5頭のライオンのうち、2頭が死んだ。
この窮状をめぐり、支援を呼び掛けるオンラインでの運動が広がると、世界中の獣医師、自然保護運動家、動物愛護家らが応じ、人々の関心を集めた。
生き残った3頭は、ハルツームから車で南に1時間ほどの距離にあるバゲル(Al-Bageir)保護区に移された。保護区を創設したオスマン・サレハ(Osman Salih)氏は、ライオンたちの健康は大幅に回復していると語る。
5歳の雌ライオンには復活の証しとして、古代スーダン・ヌビア王国の女王を指す「カンダカ」という名が授けられた。
カンダカがいるバゲル保護区には、スーダン全土から17頭のライオンが集められた。だが、ライオンの餌として1日当たり100キロを超える肉が必要などコストは高く、保護区の維持にも課題が山積みだ。
それでも多くの人にとって、保護区は希望の源だ。ナイル川を挟んでハルツームの対岸にあるオムドゥルマン(Omdurman)の住民で、ボランティアのモアタズ・カマル(Moataz Kamal)さんは「毎日、保護区へ行きます」と話す。「ここにいると、外の世界が存在しないような感じがするのです」 (c)AFP/Ahmed Alsawi