【3月17日 AFP】ロシアの侵攻を受けるウクライナで、同国軍部隊が米国製の対戦車ミサイル「ジャベリン(Javelin)」を肩に担ぐ画像が世界に伝えられ、ウクライナの抵抗の象徴になっている。ジャベリンは、最新式の装甲を貫通する能力を持ち、ゲリラ戦では特に有効だ。

 ロシアと直接的に交戦せずにウクライナ軍を支援したい西側諸国は、ロシアが先月24日にウクライナに侵攻した後、同国への武器供与を大幅に拡大した。米高官によると、ウクライナは数百のジャベリンの発射装置を含め、約1万7000基の対戦車兵器を受け取った。

 ウクライナ軍は、英国の軽対戦車兵器NLAWやスウェーデン製の携行対戦車弾AT4などの供与を受けたが、ジャベリンが第一の選択肢になっている。キリスト教の聖人とみられる女性が、黄色と青のウクライナ国旗を背景に後光に照らされ、対戦車砲を誇示する「聖ジャベリン」と呼ばれるイメージがインターネット上に拡散している。

 ジャベリンは、ウクライナ側に立つ米国の支援のシンボルになるとともに、技術的な特徴からウクライナ軍に重用されている。

 ジャベリンは、タンデム弾頭を備え、戦車に着弾するとまず小さなサブ弾頭が爆発し、その後により強力なメイン弾頭が爆発して装甲を貫通する。特に、弾頭の爆発を分散させて被害を食い止める爆発反応装甲を備えたロシアのT90戦車など、最新式の戦車の装甲を貫通する能力を持つ。

 射程は2500メートルで、戦車などに直撃させるためのダイレクトアタックモードと、最大160メートルまで上昇して装甲が脆弱(ぜいじゃく)な上部を狙うトップアタックモードがある。また、上空に向けて発射すれば、低空で飛行するヘリコプターを撃墜することも可能。

 戦車や装甲車は、乗員が出入りするハッチが上部に設置されており、この部分が攻撃に対して脆弱であり、ジャベリンのトップアタックモードによる上空からの弾道の軌道が戦車にとって最大の脅威だ。