仏ロ首脳、20時間対話の行方は 欧州の自立目指すマクロン氏
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■別人
マクロン氏は2月のモスクワでの会談と、その後の平均3日に一回の電話会談から、新型コロナウイルス流行により世界が変わってしまう前の2019年当時のプーチン氏と、今のプーチン氏が別人だということを明らかに感じ取っている。
ある仏高官によると、マクロン氏はモスクワでの会談後、「プーチン氏は以前よりかたくなになり、孤立し、イデオロギー色を強め、安全保障を最優先する思考に陥っている」との印象を受けた。
プーチン氏は時に、マクロン氏を相手に、北大西洋条約機構(NATO)と西側諸国から軽んじられてきた歴史についてえんえんと講義する。プーチン氏は先日、NATOと西側諸国は「うその帝国」だと呼んだ。
プーチン氏は「時折、いら立ちのそぶりを見せる」ものの、通訳の時間を挟み、対話はお互いの言い分を丁寧だが強く否定し合いながら続けられる。
マクロン氏の側近は「プーチン氏は非常に中立的な話し方をし、感情を差し挟まない」と語った。
両首脳は友人や身内同士で使われる親称で呼び合う。
仏大統領府は、プーチン氏との対談に手を焼いていることを示すようなマクロン氏の写真を公開している。無精ひげを生やし、疲れた様子で机に肘をつき、思い悩んでいるように見える。
世論調査によると、来月の大統領選で再選を目指すマクロン氏の働きぶりを有権者は評価している。ここ1か月で支持率は急伸し、最有力候補となっている。
侵攻開始以降、マクロン氏はプーチン氏に対し、民間人を標的にしないことや、停戦、人道回廊の設置を求めてきた。
ロシアが先週、ようやく提案してきた人道回廊がロシアへと避難するものだったことから、マクロン氏はプーチン氏の「道徳的・政治的な皮肉」を批判した。
民間人が犠牲になっていることについて問われると、プーチン氏は明確な否定を繰り返す。
先月のモスクワ滞在中、22年間権力の座にあり、西側諸国への敵対姿勢を強めている人物との間で共通点を見いだせるとなぜ思っているのかと、マクロン氏は問われた。
マクロン氏はそれに対し、「報われないこともあった」と認めつつ、より大きな目的のためであることを示唆した。
欧州連合(EU)が自らの運命を米国に委ねるのではなく、自立し、安全保障をめぐりロシアと直接交渉できるようになることを目指している。
マクロン氏はこう説明した。「極めて単純な確信がある。われわれ自身がロシアと対話しなければ、平和を構築する能力を高めることができない。誰にその責務を託すというのか」 (c)AFP/Adam PLOWRIGHT
