【3月16日 People’s Daily】標高約4600メートルの中国チベット自治区(Tibet Autonomous Region)ガリ地区ゲルツェ県(改則県)麻米郷行勤村で、あるチベット族の青年がヒツジを放牧しながら、スマホを取り出してショート動画を観賞し始めた。

 2021年11月末現在、中国の既存の行政村でブロードバンドが全面的に普及した。現在、97%超の県と40%の郷・鎮は5Gネットワークが普及している。農村部の光回線の通信速度の平均ダウンロード速度は100Mb/sを超え、すでに都市と「同ネット同速度」を実現した。多くの農村住民はインターネットの発展成果を共有しながら、より大きな達成感を得られるようになった。  

 都市部と農村部の「デジタルデバイド」を縮小するため、2015年10月以来、工業・情報化部と財政部は電気通信ユニバーサルサービス補償メカニズムを共同で研究・策定し、13万の行政村の光ファイバー(光回線)ネットワーク建設と6万の農村4G基地局設置を支援し、農村部の通信困難の課題が歴史的に解決された。

 工業・情報化部情報通信発展局の謝存(Xie Cun)局長によると、より多くの貧困脱却世帯がインターネットを利用可能に、また、庶民の利用、それも低価で利用可能にするため、中国は基礎通信企業による農村部の貧困脱却世帯を対象とする5割引以下の基礎通信サービス料金の引き続きの徴収を後押ししている。正確な料金引き下げ措置はすでに農村部の2800万以上の貧困脱却世帯に恩恵を与え、計88億元(約1630億円)以上の利益を還元した。広大な農村地域において、ユーザーは携帯電話、固定ブロードバンド、ネットテレビのパッケージの利用には、月額わずか30~40元(約557〜743円)のみの価格となり、ブロードバンド利用の負担が大幅に軽減されたという。

 リンゴ園には5G基地局が設置され、果樹園の光照射、虫害、水・肥料、温度、湿度などのパラメータとライブ監視映像をリアルタイムでビッグデータプラットフォームセンターに継続的にアップロードすることにより、マウスでクリックするだけで点滴灌漑などの作業設備を遠隔操作でき、インテリジェント制御が可能となる。チャイナユニコム(China Unicom)が立ち上げたスマート農業プロジェクトは、四川省(Sichuan)涼山イ族自治州(Liangshan Yi Autonomous Prefecture)越西県の1万6000人の貧困脱却者が豊かになるため新たな道に就くことを支援してきた。

 工業・情報化部の田玉龍(Tian Yulong)チーフエンジニアは、農村部のネットワーク応用を拡大する上で重点となるのは、農村の農業・生産の結合、貧困脱却の難関攻略と農村の振興の支援、農村の生産・生活の活力付与、公共サービス水準の向上だと紹介した。農村eコマース、アグリツーリズム、スマート農業の発展が進み、農民が豊かになる力強い支えとなっている。最新の統計によると、2021年第1四半期から3四半期までで、全国農村部のオンライン小売売上高は前年同期比16.3%増の1兆4293億1000万元(約26兆5300億円)で、全国の農産物のオンライン小売の売上高は前年同期比1.5%増の3043億9000万元(約5兆6200億円)だったという。

「現在、農村の小中学校は100%のオンライン化をほぼ実現し、特に新型コロナパンデミック期、オンライン教育、オンライン教室は誰もが認める効果を得た」。田氏によると、今後は「インターネット+医療」「インターネット+教育」を引き続き推進し、各地が地域情勢に応じてネットワーク技術を普及させ、eコマース、アグリツーリズム、栽培・飼育と深く融合させ、「デジタルがもたらす恩恵」を生み出し、農業・農村の現代化の発展を支援するという。(c)People’s Daily/AFPBB News