■独占取材

 中国メディアはロシアの陰謀論を露骨に推進し始めている。

 環球時報(Global Times)は、ウクライナにある米出資の生物学研究施設でコウモリを宿主とするコロナウイルスの実験が行われていたとするロシアの主張をそのまま伝え、「火のないところに煙は立たない」と書いた。だが、この疑惑は「真っ赤なうそ」だと暴かれたとの米国側の反論は報じなかった。

 フェニックステレビ(鳳凰衛視、Phoenix TV)は、ロシア軍士官にウクライナ東部の「非軍事化」作戦の進行状況を取材した特派員インタビューを放映した。

 また、国営英語放送CGTNは、数百万人のウクライナ難民が欧州へ流入する中、東部ドネツク(Donetsk)の親ロシア派勢力指導者デニス・プシーリン(Denis Pushilin)氏に「独占インタビュー」を実施。その中で同氏は「解放された地域」について語り、「大多数の市民はできるだけロシアに接近したがっている」と主張した。

 中国政府は「すべての国の主権や領土の一体性を尊重する」必要性を強調し、和平交渉に貢献できる慎重な中立国として自国を位置付けようと試みてもいる。

 環球時報は11日、中国の姿勢は「独自のウクライナ政策と全当事国との関係強化によって世界に安定をもたらす」ものだと報じた。

 だが、オランダ・ハーグ戦略研究センター(HCSS)のリチャード・ギアジ(Richard Ghiasy)氏は、中国はウクライナ侵攻をロシアの安全保障を損なうNATO拡大に対する「防衛」行為だと見ていると指摘。「中国の立場は明確で、その点には全く変更はない」と述べた。(c)AFP/Beiyi SEOW