【3月15日 AFP】女子テニスのセレーナ(Serena Williams)とヴィーナス(Venus Williams)のウィリアムス姉妹へ「思慮に欠ける」コメントをしたとして、第94回アカデミー賞(Academy Awards)の最有力候補であるジェーン・カンピオン(Jane Campion)監督が14日、謝罪した。

 女性監督のカンピオン氏は13日、ゴシック調で描いた西部劇『パワー・オブ・ザ・ドッグ(The Power of the Dog)』で第27回放送映画批評家協会賞(Critics' Choice Award)の監督賞を受賞した。

 大勢のスターが集まった授賞式では、会場の女性たちを称賛したが、ウィリアムス姉妹を名指しした発言が批判を呼んだ。

 カンピオン氏は、伝記映画『ドリームプラン(King Richard)』のため出席していたウィリアムス姉妹に対し、「セレーナとヴィーナス、あなたたちは本当に素晴らしい。でも、私は男を相手にしなくてはいけなかったが、あなたたちはそうじゃない」と述べた。

 この発言はすぐに猛反発を呼び、ソーシャルメディアで性差別的で人種差別だとの批判の声が上がった。発言の動画はツイッター上で拡散され、動画の中には悲しい表情を浮かべるヴィーナスの姿もあった。

 この状況を受けてカンピオン氏は即座に謝罪。米メディア向けにコメントを発表し、「セレーナとヴィーナスが成し遂げてきたことと、映画界で自分がしてきたことを比較する思慮に欠けるコメントをしてしまった」と謝罪。

「伝説的な黒人女性で、世界的なアスリートであるこの2人をおとしめるつもりはなかった」と釈明し、「ウィリアムス姉妹は実際にコート内(外)で男性と正面からぶつかり、この世界で女性たちにできることのレベルを上げ、扉を開いてきたというのが事実」と述べた。

「私が最も望まないのは、素晴らしい女性を過小評価すること。セレーナとヴィーナスのことが大好き。彼女たちが成し遂げてきたのは、とてつもなく大きくて刺激的なこと。セレーナとヴィーナス、あなたたちに謝罪するとともに全面的に祝福する」

 ニュージーランド出身のカンピオン氏は、今作品ですでに第79回ゴールデン・グローブ賞(Golden Globe Awards)と第74回全米監督組合(DGA)賞を受賞している。アカデミー賞の授賞式は3月27日に行われる。(c)AFP