【3月14日 AFP】ウクライナ西部の古都リビウ(Lviv)では、今後想定されるロシアの爆撃から文化財を守ろうと市民が奔走している。緩衝材や耐火材でくるまれた彫像を、街のあちこちで見かけるようになった。

 マーケット広場(Market Square)に立つローマ神話の海神ネプチューン(Neptune)の像は丸ごとシートで覆われ、突き出たやりしか見えない。

 人口70万人のリビウの中心部は、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録されている。その豊かな遺産を守るため、ボランティアが市の職員や建設業者とチームになって活動している。

 文化財保護協会のアンドレイ・サリュク(Andriy Salyuk)代表は、ある美術史家から「爆撃を受ければ、ステンドグラスが失われるかもしれない」と言われたことがきっかけで行動を起こしたと語った。

 14世紀に建てられた聖母被昇天大聖堂(Cathedral Basilica of the Assumption)では、防護パネルの取り付けが行われていた。現場監督は「直接の衝撃から守ることはできませんが、火や衝撃波、破片による軽い破損から守るためにできる限り努力しています」と語った。

 アルメニア教会の14世紀の木製の祭壇は最近修復されたばかりだが、市の文化財保護局の担当者によれば、「第1次世界大戦(World War I)当時と同じく」解体して保護しているという。

 サリュク氏は「最も壊れやすいもの」を保護し終えた後のことについて、「教会内部の美術品はどうするつもりかと聞かれることがあります」と話した。「もちろん保護したいですが、すべてを守ることは無理です」

 映像は5日撮影。(c)AFP/Thibaut MARCHAND