【3月12日 AFP】国連安全保障理事会(UN Security Council)は11日、米国がウクライナでコウモリを使った生物兵器開発を行っているとしたロシアの主張をめぐる緊急会合を開いた。西側諸国は会合で、ロシアが国連を利用して「でたらめ」な陰謀論を広めているなどと非難した。

 米国がウクライナの生物兵器研究を支援しているという主張は以前にも出されていたが、裏付けはない。緊急会合を要請したロシアのワシリー・ネベンジャ(Vassily Nebenzia)国連大使は、ウクライナがコウモリからヒトに「ウイルス性病原体」を感染させることを目的とした「非常に危険な生物学的実験」を行う研究所を30施設運営してきたと主張。研究対象にはペストや炭疽(たんそ)、コレラなどの病原体が含まれていると主張したが、証拠は提示しなかった。

 中満泉(Izumi Nakamitsu)国連事務次長・軍縮担当上級代表は、国連は「ウクライナでの生物兵器開発プログラムの存在は把握していない」と言明。英国のバーバラ・ウッドワード(Barbara Woodward)国連大使は、ロシアが「でたらめで事実無根かつ無責任な一連の陰謀論」を広めるために安保理を利用したと非難。米国のリンダ・トーマスグリーンフィールド(Linda Thomas-Greenfield)国連大使も、ロシアが「うそをつき、偽情報を広めることだけを目的に」会合を要請したと非難した。(c)AFP